桐生タイムス「森のルーティーン・タノさんの眼」(第1回)
器用じゃないといけないの? (2016年4月2日掲載)
器用じゃないといけないの?
僕もそうですが、不器用な人なら一度は考えた事があるはず。
でも、どうやらそうじゃないみたい、という事を鳥たちが見せてくれました。
まず「器用」代表、シジュウカラ。写真のシジュウカラの足元を見てください。上手に何かをつかんでいるのが分かりますか?
観察の森では冬、野鳥のためにエサ台を出すのですが、そのエサのヒマワリの種なんです。
足でつかんで種をつつく事ができるシジュウカラは、エサ台にやって来る他の鳥たちよりもたくさんの種を短時間で食べる事ができます。
そして「不器用」代表、アトリ登場。
アトリが種を足でつかむところを僕は見たことがありません。種をひとつくわえては、モグモグ口を動かして、カラを取ります。それからようやく飲み込むのです。
ひとつの種を食べる時間はシジュウカラよりも長いでしょう。でも、アトリもしっかり食べることができています。
写真を見てください。アトリはエサ台になれてしまうと、まるでお風呂に入るようにエサ台にドップリ入ってしまいます。観察の森のエサ台では、アトリのほうがシジュウカラより強いようなので、シジュウカラはアトリのすきを見て種を食べる事しかできなくなるのです。
器用な鳥は器用なりの、不器用な鳥には不器用なりの「食べるスタイル」があるようです。
「器用でも不器用でも良いじゃない、おなかがいっぱいになる事が大事だよ。」
そう鳥たちに言われてしまったような気がします。
要は工夫しだい。不器用な僕も鳥たちにそう勇気づけられました。
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