桐生タイムス「森のルーティーン・タノさんの眼」 (第11回)
魚と暮らしています (2017年2月4日掲載)
厳しい寒さが一転、異様な暖かさに。何とも読めない季節運びですね。
しかし冬なのです。生き物はあまり姿を見せてくれません。しかし生き物が見当たらないから動物写真家は休業とはいかないのです。
いま僕は池や川などに暮らす、淡水魚の写真を撮っています。捕獲した魚を水槽で撮影するのです。
当たり前ですが、まずは魚たちが必要です。自分で捕獲もしますが、それだけでは撮影に必要な魚種を確保できません。そこで淡水魚の養殖家にお願いして、必要な魚種を入手します。
この時、重視しているのが魚の産地です。撮影が終われば魚は放流するのですが、地域の生態系に存在しない魚種を放流する訳には行きません。そのために必要な情報なのです。
飼育に当たり、魚の運搬、魚種にあった飼育方法など、沢山の事を学ぶ必要がありましたし、今も勉強しながら魚たちと過ごしています。
いま、僕の自宅には3個の水槽があります。ここで水槽の住人を紹介しましょう。
やんちゃ坊主「ヌマチチブ」です。[写真1]
[写真1]
ハゼの仲間ですが、体色が変化したり、驚くほど気が強く、自分の倍以上もあるウグイを攻撃したりと見どころ満点の魚です。元気すぎるのが悩みの種で、同居させる魚の種類に気を使います。
存在感満点なのが「ギバチ」です。[写真2]
[写真2]
ギバチはナマズの仲間で夜行性です。暗くなればエサをバクバクと食べ、活発に泳いでいます。あまりにも何でもよく食べるため、やたらに他の魚種と同居させることは出来ません。
様々な生き物の姿を撮影するため、僕の仕事には生き物を飼育する事も含まれてくるのです。飼育をする事で、さらにその生き物たちを知ることにもつながります。
もう数ヶ月はこの楽しい同居生活が続きそうです。
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