桐生タイムス「森のルーティーン・タノさんの眼」(第2回)
色はいろいろ (2016年5月7日掲載)
春になりました。暖かくなり、花々が咲き、こころもウキウキとしてきますね。
でも実は、動物が主な相手だったので、僕はこれまで花や植物にあまり興味持っていませんでした。
ある日、花の撮影している時に、一つの花の中にたくさんの色がある事に気付きました。
例えばこのコブシの花、何色が見えますか?
花びらの白、葉の緑、つぼみの殻の茶色、まずそれが目に入ります。
もっとよく見ると、花びらに紫色の帯があります。雄しべはクリーム色、雌しべはあざやかな緑色で、クリーム色の角が付いています。
色を探してコブシの花を見ていると、雄しべ、雌しべ、花びら、つぼみの殻と、いつの間にか、じっくり花を観察していました。
するとこんどは、「花が散ったら、どうなっていくのだろう?」という疑問もわいてきます。
では、花びらが散った後の様子を見てみましょう。
雌しべだけが残り、角が茶色に変わっていますね。
雌しべの下に、クリーム色の三角形をした部分があるのが分かりますか?
なにやら薄茶色の小さな点と、やや大きな斑紋が付いていますね。
まず、小さな点ですが、これは雄しべが付いていた跡なのです。
雄しべはきれいに外れてしまうのですね。
では斑紋はなんでしょう?
そう、花びらが付いていた跡です。
よく見ると、斑紋の大きさと形が違いますね。
花に限らず、色の違いに注目して、自然をじっくり見つめると、いろいろな事が見えてきます。
今では、僕も植物に興味津々です。
色はいろいろな事を教えてくれる、そう感じた今年の春でした。
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