桐生タイムス「森のルーティーン・タノさんの眼」(第3回)
みつめてみれば (2016年6月4日掲載)
日ごとに暖かくなってきて、生き物たちの姿も濃くなってきました。
そんな中、オオミズアオの羽化に立ち会う事ができました。
写真のように、オオミズアオは美しいガです。薄緑色の羽に、赤色のラインがよく映えます。
その薄緑色の羽の上に、黄色い楕円形の模様があるのが見えますか。
これは外敵を驚かせると言われている、「目玉模様」です。
黒い影が付いていて、鋭い目玉に見えますね。
胴体にはたくさんの白い毛が生えています。
触角も不思議な形をしています。
では、拡大撮影した写真で、オオミズアオの体をじっくり見つめてみましょう。
まず、触角をよく見てみましょう。
枝分かれして、魚の骨のようですね。
その「魚の骨」に膜がかぶっているように見えませんか?
実は膜のように見えるのは、たくさんの細くて、短い毛なのです。
頭や胴体にも、白い毛がたくさん生えています。
実はこの毛、胴体だけではなく、そして羽の根元とその周辺までも生えています。
いったいこの毛は何のために生えているんでしょう。
ひょっとすると、胴体の場所を分かりにくくする、カモフラージュなのかも。
僕はそんなふうに思いましたが、本当はどんな役割を持っているんでしょうか。
(一般に昆虫の毛は、音や振動を感じる器官として紹介されています)
ふだん肉眼で見ているものを、大きく拡大してみると、新たな発見や不思議がたくさん湧き上がってきますね。
じつは、皆さんも「大きく拡大」を簡単に行うことが出来るんです。
そう、虫眼鏡やルーペを使えばいいんですね。
野山に出かけるときは、ぜひ、虫眼鏡やルーペを持っていって、生き物の不思議を見つけてみてください。
細かく、小さな世界をみつめてみれば、素敵な発見がきっとあります。
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