桐生タイムス「森のルーティーン・タノさんの眼」(第7回)
秋の人気者(2017年10月1日掲載)
9月も半ばを過ぎて、涼しい日が増えてきました。夏の暑さに疲れ切った体にはこの涼しさが何ともありがたく感じます。
ところが、涼しくなると慌てだす生き物たちもいるのです。
昆虫たちです。昆虫たちは寒くなって死ぬ前に、子孫を残しておかねばならないもの、寒さの中を生き延びるために、冬越しのしたくをしなければならないものがほとんどです。
いま、昆虫たちはまさに大忙しの季節なのです。
そんな昆虫たちに大人気なのが秋の花々です。例えばいわゆる「ひっつき虫」のセンダングサの仲間、キツネノマゴ、キンミズヒキなどが虫たちに人気でしょうか。山地になると、アザミの仲間も大人気です。
たくさんの虫たちが、みつを目当てに集まってきます。その虫たちを目当てにカマキリやスズメバチなども集まってくるのです。
さて先日、栃木県の山に出かけた折に見かけた風景です。
アザミの花に、たくさんの甲虫が顔を突っ込んでいるのがわかるでしょうか。(写真1)
[写真1]
ハムシの仲間、おそらくヨモギハムシだと思いますが、一心不乱に黙々と花を食べているようです。その横には蜜を吸いに来たハナバチの仲間の姿も見えますね。
そんな大にぎわいの花の上にポッとクモガタヒョウモンが蜜を吸いにとまりました。(写真2)
[写真2]
秋野の山で花を見つけたら、あまり動かず、じーっと見つめてみてください。
冬、静まり返る前の最後の山の賑わいが、きっと目の前で繰り広げられますよ。
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