桐生タイムス「森のルーティーン・タノさんの眼」 (第9回)
足早に冬が来た! (2016年12月3日掲載)
今年は秋が短いと感じました。
ここ十数年、10月中はまだ暑く、11月になって紅葉が見られるような感覚でいましたが、なんと11月中に雪まで降ってしまいましたね。
僕たちヒトも、急に気候が変わると体の調子を崩したりしますが、体温が外界に大きく左右される「変温動物」たちにとってはもっと悩ましいことになるのです。
彼らは低温になると活動する事が出来なくなります。
そこで[写真1]を見てください。
[写真1]
11月の上旬に急に気温が下がったため、沢の中で立ち往生していたアズマヒキガエルです。顔が「むう、困った」言っているかのようです。
おそらく越冬の準備に山の斜面を目指していたと思うのですが、思わぬ低温で動けなくなったのでしょうね。
[写真2]は「エサキモンキツノカメムシ」です。「ハートのカメムシ」なんて呼ばれたりもしています。
[写真2]
先日の雪の翌日、コンクリートの上で動けなくなっていました。本来このカメムシは樹皮の裏側や落ち葉の下に潜り込んで越冬するものですが、やはり間に合わなかった様ですね。
秋から冬に代わるこの時期、たくさんの生き物が越冬場所に急いでいます。
時折気温が急に下がると、動きが鈍くなって、動かぬ体を必死に前に進めている姿を見ることもまた、多くなるのです。
限界の寒さぎりぎりまで食べて、動けるぎりぎりを狙って越冬に入るのでしょうか。
暑さ寒さといった気温や雨の量など、大きく変動する最近の気候に、「なんだか生きるの難しくなって、困るねぇ」と彼らが言っている様な気がします。
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